「名刺入れ」の仕様変更版(A)がようやく形になりました。

「風琴マチ名刺入れ / かぶせ」

革:ミネルバボックス(タバコ) 糸:№125(栗)

今回の仕様変更作業では、「表革の仕立て方」と「マチ」の二点について見直しを行いました。

先ず「表革の仕立て方」についてですが、これまでの革の裏側全面に糊を付けて貼り合わせる所謂「ベタ貼り」から、二枚の革それぞれに補強と肉盛りを兼ねた薄い革を貼り、ステッチの掛かる淵のみを接着する方法へ変更しました。

これによりコバは薄く、身には適度な厚みとハリを持たせることができます。

なおこの方法は「ヘリ返し+ミシン縫い」の革製品では一般的な作りですが、本作は「切り目+手縫い」なので、正確な下処理と貼り合わせを行わないと菱目の数と位置がずれ、最悪コバも合わなくなってしまうため、自分でこの方法を選択しておいてなんですが、とても骨が折れます。

次に「マチ」についてですが、中間にタックの入った「笹マチ」タイプから、アコーディオンの蛇腹の様な形状の「風琴マチ」へ変更しました。

変更した理由としては、「内側に入り込まないマチを使い、前段は低く後段は高い収納スペースを3箇所コンパクトに設けるにはどうしたらよいか」というテーマがあり、試行を重ねた結果「仕切り」と「マチ」が効率的に組み合わさるということで「風琴マチ」を採用しました。

風琴マチは糊の接着だけで組み立てるので一見簡単そうですが、こちらも正確な下処理と細かい漉き、慎重な貼り合わせが求められるので、前作の笹マチよりも時間と労力を要します。

名刺の収納量については、主室20枚、前後副室に各5枚、かぶせのポケットに5枚の計35枚となっています。

上の3画像は35枚を収納している状態です。

入れようと思えばもう少し入りますが、型崩れを起こさない綺麗なシルエットの目安ということで35枚にしています。

結果的には一部変更というよりもフルモデルチェンジに近い形とになり、手間と材料が増えた分価格も高くなってしまいましたが、どうかご理解いただきたいと思います。

本製品の詳細についてはwebサイト「定番製品」に掲載していますので、よろしければご覧ください。