Fコインケース(一枚革仕様)
昨年末から試作を続けていた折り込むタイプのコインケースですが、実用に足るということで今回新たに定番製品に加えることにしました。
革細工の基本の仕立て方で、なるべく価格を抑えてということで、当工房としては珍しく?革の貼り合わせを行わない一枚革仕様での製品となっています。
「Fコインケース」
革:ミネルバリスシオ(タバコ) 糸:№125(栗) 金具:バネホック(ゴールド)
今回一枚革で仕立てるにあたり強度面を考えて1.2ミリ厚の革を選択しているのですが、一番ネックになっていたのが革が重なる部分の厚みでした。(三辺の端を中心に折り込み金具でまとめると、部分的に厚くなりすぎてしまいます。)
そこで一般的な作り方から離れ、マチ側になる二枚のコバを突合せに縫う「すくい縫い」を施すことにしました。
※ 画像はリスシオ(コニャック)での製作過程です。「すくい縫い」はこの後かぶせ側にも施します。
完成後このステッチは見えなくなってしまいますが、このひと手間を掛けることで厚みが抑えられ、すっきりとした収納空間に仕上がります。
また「基本の仕立て」ということで、革の裏側(床面)には毛羽立ちを抑えて革にハリを持たせるための床洗い(とこあらい)を行い、コバの処理についても通常通りの磨き込み(染色・蜜蝋入れ・熱ネン)を行い仕上げています。
本製品の詳細はwebサイト「定番製品」に掲載していますので、よろしければご覧ください。
【床洗い】:水溶性の糊を布やガラス板で擦り込んで磨き毛羽立ちを抑える技法です。主にタンニン鞣し革の床面処理に用います。
余談ですが・・・
試作ではミネルバボックス版もありまして、昨年12月のブログで画像を掲載していますが、元々が柔らかい素材なのでもう少し強度面を見てからと考えています。
また「二枚貼り合わせVer.」もブログに掲載していますが、こちらについてもいくつか気になる点があるので、様子を見ながら進めていきたいと考えています。